保護犬・猫の預かりボランティアの役割は、保護施設や団体で保護した犬・猫をご自宅で預かりお世話をすることです。預かる期間は、新しい家族が決まるまでが一般的ですが、「1ヶ月」や「半年」など明確に期間が決まっている場合もあります。
「保護犬・猫を助けたい」「預かりボランティアに興味があるけど、何から始めていいか分からない」と思っている方もいらっしゃるでしょう。そこでこの記事では、預かりボランティアの役割や具体的な応募条件についてご紹介します。
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目次
保護犬猫の預かりボランティアとは?
預かりボランティアとは、保護犬猫の安全基地のような存在になることです。保護団体では新しい飼い主が決まるまでの一定期間、飼い主さんがいない保護犬猫のお世話を「預かりボランティア」にお手伝いいただくケースが多いです。
ボランティアと一緒に生活をし、人間との生活に慣れさせてあげることにより、新しい家族との生活もスムーズに送れるようになります。
預かる犬猫はどんな子なの?
預かる犬猫の多くは、動物愛護センターや保護施設、関連団体で保護した犬・猫です。
- 野良犬や野良猫
- 野犬や野良猫が産んだ子犬子猫
- 迷子になり帰れなくなった犬や猫 など
全国の保健所や動物愛護センターには、たくさんの犬や猫が毎日収容されています。預かり期限を過ぎると、収容された犬猫は「飼い主がいない」ものとみなされ、殺処分の対象となります。殺処分されてしまう不幸な命を無くすためにも、保護団体による活動や預かりボランティアの協力は重要な役割を担うのです。
預かりボランティアの役割は?
預かりボランティアの役割は、所有者がいない犬猫を一時的に預かるお手伝いをすることです。保護犬猫に対し、次の新しい飼い主が決まるまでの間、お世話や人馴れトレーニングを通じて人と適切な距離感で生活できるよう同じ時間を過ごし、新しい家族へつないでいきます。
人間との生活に「安心できる場所がある」という経験をさせてあげることは、新しい家族のもとでの生活にとって非常に重要です。預かりボランティアは命のリレーをつなげる大切な役割を有します。
預かりボランティアが必要とされている理由
預かりボランティアが必要とされている理由は、保護犬・猫たちが人との生活の基礎を学び、新しい飼い主の元に巣立つ準備をするために、暖かい家庭でのケアを受ける必要があるからです。
保護されたばかりの犬猫の中には、人間に対し強い警戒心を抱いていたり、目に見えない病気のリスクに晒されていたりするケースもあります。動物愛護センターや保護団体では、こうした犬猫を限られたスペースと人員で保護し、健康管理をしながら里親を探します。ですが、すべてを担うには限界があります。
そこで必要とされるのが「預かりボランティア」の存在。ボランティアとして参加するには各団体ごとに様々な条件がありますが、一人でも多くの方に“仲間”として参加してほしい、という希望が込められています。
預かりボランティアになるには?手順や応募条件
保護団体により、預かりボランティアとして応募・参加する際に様々な条件を設けています。一般的にどんな条件があるのか、「預かりボランティアになりたい」と思った時の手順や応募条件について説明していきます。
預かりボランティアになる手順
保護活動は個人で行っているケースもありますが、保健所や動物愛護センター、保護団体など様々な形で「預かりボランティア」を募集しています。
ボランティアになるためには、各団体が設定している応募条件をクリアしなければなりません。人によっては「条件が細かく大変だ」と感じる方もいらっしゃるようですが、命のリレーに参加するためにはとても重要なステップです。預かりボランティアになるための手順について、具体的にチェックしていきましょう。
①募集している保護団体を選びましょう
預かりボランティアになるためのファーストステップは、参加する保護団体選びから始まります。次のような施設や団体で募集をしているケースが多いです。
- 保健所や動物愛護センター(登録制)
- 保護団体や保護活動関連団体
- 保護活動を実施している個人 など
初めて希望する場合は、サポート体制が整っている団体がおすすめです。保護犬猫と一緒に住み始めたときの困り事や対応など、相談しやすいサポート環境が整っていると安心ですよね。
自身が住んでいる地域や距離、相談しやすいスタッフがいるかどうかなど、気になる項目をチェックしながら保護団体を決めていくとスムーズに進みます。
②保護犬猫を迎える環境を準備しましょう
登録と同時に進めておきたいのが、保護犬猫を自宅に迎える環境準備です。特別なものを準備する必要はなく、犬猫を家族として迎える時と同じだとイメージしておきましょう。飼育経験のある方は、すでに揃っているものを清潔にし、不足がないかどうかをこの時点で確認しておきます。
- ケージまたはサークル
- フード・水をいれる皿
- フード類
- トイレ・ペットシーツもしくは猫砂
- リード(犬の場合)
- キャリーケース(病院受診時などに必要)
家の中に不要なものを置かないようにし、保護犬猫が過ごしやすい場所を確保してあげましょう。また、掃除用品やケア用品(爪切り、ボディタオル、猫の場合は洗濯ネットなど)も併せて準備しておくと、スムーズに生活をスタートできます。
預かり始めの時期は、環境が変わることで体調を崩しやすい子もいるため、こまめに様子を観察しましょう。トイレシートは多めに準備したり、古タオルやペットベッドなどの安心スペースを用意したりするのもおすすめです。
③預かった犬猫は新しい家族へ送り出す気持ちで接しましょう
預かりボランティアの仕事は「新しい家族につなぐお手伝い」。必ずお別れをする時がやってきます。家族として一緒に時間を過ごしていると、別れの時はとても寂しいものですが、保護犬猫にとっては新しい生活の始まりです。
新しい家族へ送り出す時は「大切な娘を嫁に出す実家のお母さん」のような温かい気持ちで送り出してあげましょう。命のリレーを身近に体験できることが、預かりボランティアのやりがいともいえます。
預かりボランティアになるのは大変?知っておきたい応募条件
預かりボランティアになるには、様々な応募条件をクリアしなければなりません。保護犬猫の大切な「命」を預かる重大な役割をするため、少々大変に感じる条件であっても、ひとつひとつ確認しておきましょう。
多くの募集団体が応募条件としてあげている項目は、次のようになります。
- 家族全員がボランティアになることに同意している
- 犬猫を投薬や診察のために病院などの施設へ連れていける
- ペット飼育ができる物件に住んでいる
- ボランティア保険へ加入
- 家族でお子様やご高齢の同居者がいる場合の対策ができている
- 先に飼っている犬や猫がいる場合は、別室で隔離出来るスペースがある
- 1日のなかでふれあいの時間を十分に確保できる
- 保護主と密に連絡を取れる
- これまでに飼育経験がある
保護団体によって、研修を受ければ飼育経験が無くても預かり先として認める団体もあれば、記載以外の条件を設定している団体も多いです。各団体の条件をしっかりと確認したうえで応募しましょう。
こんな方が預かりボランティアに向いています
預かりボランティアに向いている方は、保護犬猫のために手助けをしたいと思ってくれる方です。また、様々な理由で新たに家族をお迎えすることはできないものの、一定期間であれば犬・猫の預かりができる場合も、預かりボランティアには向いています。
- 新しい子は受け入れられないが、一定期間だけでも「犬猫の助け」になりたい
- 高齢だが健康に問題ないうちは犬・猫と関わっていたい
- 命のリレーをつなぐ手伝いをしたい
もし、ひとつでも当てはまるようでしたら預かりボランティアとしての参加を検討してみてください。犬猫を助けたいと思う優しい気持ちは、保護犬猫にとって安心してすごせる場所になります。
預かりボランティアでよくある疑問
この章では、実際に預かりボランティアをしてみたいときに聞かれる質問をまとめました。一時的でも保護犬猫を預かるとなると、お世話のためにお金や時間もかかります。実際に預かる時に困らないように、こちらで疑問点を解消しましょう。
保護犬猫の預かり期間は?
保護犬猫を預かる期間は、保護団体の方針や事情によって異なります。「新しい飼い主が見つかるまで」の長期的なスパンで預かることもあれば、「1ヶ月」や「半年」など期間が明確に決まっていることもあります。
ご家庭の事情や希望がある場合は、申込み時に具体的な預かり可能期間など、おおよその日数や希望を相談するといいでしょう。
気になるお金事情は?医療費・消耗品など
預かりボランティアをする時に「どのくらいお金がかかるの?」「医療費の負担は誰がするの?」など、費用面について疑問を持つ方も多いです。
まず医療費については、団体が負担してくれるケースが目立ちます。費用負担の仕組みとして、ボランティアが先に医療費を立替え、かかった費用を後から団体に請求する流れが一般的です。したがって、受診前に必ず団体に相談するようにしましょう。
フードやトイレシート・シャンプーなどの消耗品にかかるお金については、団体によって様々ですが、預かりボランティアの方が個人負担しているところも多いです。預かりボランティアとして参加する際は、一定の出費が必要となる点も念頭に置いておきましょう。
一人暮らしでも預かりボランティアになれる?
「一人暮らしでは保護犬・猫の預かりボランティアになれない」という明確なルールはありません。保護団体によっては一人暮らしの方の参加を認めているケースもあります。ただし、あまりにも留守にしがちで、預かっている犬や猫との触れ合いの時間を取れない場合は、ボランティアとしての参加は難しいでしょう。
日頃のお世話や健康管理だけでなく、適度なスキンシップや人間とのコミュニケーションを学ぶ期間であることを前提に、預かりボランティアとして活動できるかを検討してみてください。ご自身だけで判断が難しい場合は、保護団体に直接相談してみるといいでしょう。
預かった保護犬・猫をそのまま飼うのはOK?
保護犬・猫と一緒に暮らしていると、「そのまま飼いたい」「里親として迎え入れたい」と思うボランティアさんもいらっしゃいます。
預かりボランティアはたくさんの命を救う大切な役割があるため、「いつまでも一緒にいたい」という気持ちを割り切ることも必要です。ですが、里親として「そのまま飼いたい・お迎えしたい!」と希望があれば、団体に一度相談してみましょう。
実際に、預かっていた保護犬や猫を家族に迎えているボランティアさんもいらっしゃいます。もし預かっていた子の里親を希望する場合は、各団体ごとの手順やルールに沿う必要があります。自己判断せず、担当スタッフへ相談してください。
預かる犬・猫は選べるの?選び方に迷ったら?
ボランティア自身が「保護犬や猫を自由に選べる?」との疑問も耳にします。預かりを依頼する保護団体としては、家庭の事情や年齢、住宅環境、これまでの飼育経験など、様々な情報を加味したうえで預かりを依頼します。保護団体の多くは「預かりボランティアさんには無理をさせない」という考えも持っています。
よって、ご自身の希望から大きく逸脱してしまうケースは少ないでしょう。ただし、ペットショップのような感覚で選ぶことはできないため、その点は理解しておきましょう。
預かりボランティアをやってみたい方へ
保護犬・猫を預かるボランティアは、「命を救うお手伝い」を目に見える形で経験できる素敵な仕事です。と同時に、「命を預かる」という大きな責任も伴ってきます。
「保護犬猫のために手助けをしたい」と思われている方は一度、お住いの地域や保護団体に足を運んでみませんか。保護団体では、ボランティアが求められる際にも様々なサポート体制も整っています。
「命のリレーを繋ぐ」素敵な体験を1人でも多くの方が経験できますように。
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