犬猫生活福祉財団では、犬猫の保護活動を行われている団体へ向けた助成金の交付を実施しています。
2022年度助成では、令和4年6月14日に10団体へ総額200万円の助成金を交付しました。
本助成を受けて、団体さんをどのようにサポートできたのでしょうか?
今回は、2022年度助成先団体 むさしの地域猫の会 西村さんに、活動内容や本助成の交付についてお話を伺いました。

左上:犬猫生活福祉財団 疋田
中央下:犬猫生活福祉財団 高山
インタビュアー:犬猫生活福祉財団 疋田千束、高山樹乃)
西村さん、今日はお忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
西村さん)
よろしくお願いいたします。
高山)
それでは早速、活動内容について教えていただけますか?
西村さん)
むさしの地域猫の会は、東京都の武蔵野市で地域猫活動を行っている団体です。
メインは地域猫活動ですが、今年17年目を迎え、おかげ様で地域のトラブルがほとんどなくなってきています。そのため、今は飼い主のいない猫の保護・譲渡に力を入れ始めています。
東京と群馬の動物愛護センターに団体登録を行い、センターからの引き出しと、武蔵野市と連携して高齢などで手放さざるを得ない飼い猫の保護・譲渡も始めました。
高山)
ありがとうございます。
設立の経緯について教えていただけますか?
西村さん)
私が住んでいる町は吉祥寺なのですが、以前は猫の数が多く、商店街や井之頭公園にもたくさんの猫がいました。
繁華街に猫が増えると、衛生面からお店も困ることからトラブルが多発したため、地域猫活動でノラ猫の管理をしていこうと、市と話し合いの場をもって、地域猫活動をするむさしの地域猫の会が発足しました。

詳細はむさしの地域猫の会さまのホームページをご覧ください
高山)
そのような経緯があったのですね。
活動を行う上で、特に大切にされている考えを教えていただけますか?
西村さん)
「猫ファースト」「困っている猫を助けたい」が第一ですが、猫を助けようとすると必ず人が関わるので、私は人の想いも大切にしたいです。
高山)
素敵な考えですね。
それでは、実際に活動されていて苦労することはどんなところですか?
西村さん)
大変なことはたくさんありますが、保護するのが元気な猫ばかりではないということですね。
特に生まれたばかりの乳飲み子は亡くなってしまうことも多く、そういう時が一番つらいですね…。
アメリカのように乳児専門の病院があるといいなと思います。

(むさしの地域猫の会さま インスタグラムより引用 @musashinocat)
高山)
次に、本助成金の交付を受けての感想を教えていただければと思います。
本助成に応募された経緯やきっかけについて教えてください。
西村さん)
犬猫生活福祉財団さんからインタビューを受けたことがきっかけで、SNSなどをフォローするようになりました。
会を預かるものとしてお金を集めることは重要な仕事のひとつなので、助成金があることを拝見しまして犬猫生活福祉財団さんが素晴らしい活動をしていることはわかっていたので、是非補助金を受けたいと思って応募いたしました。
ほとんどのボランティアさんが自腹と個人寄付で成り立っている中で、もっと補助金等を出す自治体やきちんとした企業が増えるといいなと思います。
高山)
本助成金の申請にあたり難しいと感じたところ、簡単だと感じたところはありますか?
西村さん)
申請は非常に簡単でした。
紙媒体だと大変なので、こちらはネットでできたのですごい助かるなーと思いました。
元々、少ない人数で実施しているボランティアさんのグループは申請なども難しいと思うので、助かると思います。
疋田)
助成金の申請について、日々お忙しい団体さまに簡単に申請いただけるよう、意識して整備したのでご評価いただけてとても嬉しいです。温かいお言葉をありがとうございます。

(2022年度の申請受付は終了いたしました。)
高山)
助成金の具体的な使い道について教えてください。
西村さん)
助成金の使い道は、ほぼほぼ保護した猫たちの医療費ですね。あとは地域猫活動をするときの、手術代もあります。ただ、医療費のほうが不足しているので、そちらが多いです。
高山)
ありがとうございます。
助成金を受けて、主にどのような効果がありましたか?
西村さん)
お金がかかるのは、ケガをしている子です。例えば交通事故にあった子は治療費が高くなかなか受け入れが難しいので、いただいた助成金+皆様からの寄付でそういう子を安心して受け入れられるという状況になりました。
結果、保護、治療、人慣れ修業して、里親さんのもとに行った子もいます。
高山)
お役に立てて嬉しいです。
犬猫生活の助成事業について「もっとこうだったら良いのに」等の希望はありますか?
西村さん)
助成金ではないのですが、犬猫ワークスで預かりボランティアさんの応募があり、すごく助かっています。ただ、応募していただいたときに思ったことがあって、情報が少ないというか、その方の情報がもう少し欲しいなーと思います。例えば、年代とか、猫の飼育経験とか、車の有無とか…
そうすると、できることがさらに増えるのでいいなと思いますね。
疋田)
貴重なご意見をありがとうございます。今後の改善に努めさせていただきます。

犬猫生活福祉財団が運営する、わんちゃん・猫ちゃんの福祉向上活動に取り組む
ボランティア専⽤の募集情報を掲載したサイトです。
高山)
むさしの地域猫の会さまの、今後の活動や目指していきたい未来について教えてください。
西村さん)
やりたいなと思ったことは現在広げられています。例えば飼い猫の保護もできるようになりましたし、それが全国に広まっていったらいいなと思います。
ただ飼い主のいない猫については、日本全国ほぼ手を付けられていると思いますが、飼い主がいるが困っている子に差し伸べられる手が少ないですよね。今後そういう案件は絶対的に増えてくると思います。
武蔵野市では福祉課と環境部で連絡をとり、役所内で調整をしてから、むさしの猫の会に話がくるようになっています。ここに関しては補助金もあり、お金の問題が解決できるのでとてもやりやすいです。飼い主さんとのやり取りも、役所の方に対応いただくとスムーズに進むことが多いので、この仕組みが全国展開されるといいなと思っています。
また、一次的に預かる場所というのが圧倒的に不足していると感じます。例えば、飼い主が3か月入院するので、預かってほしいという要望に応えられる仕組みがあるといいなと思います。
疋田)
非常に勉強になります。
詳しく教えていただきありがとうございます。
高山)
むさしの地域猫の会さんの支援者様へメッセージがあれば教えてください。
西村さん)
感謝のひとことですね。応援してくださっている方のおかげでこの活動を続けられています。
それはお金や物ももちろんそうなのですが、SNSで応援してくれる言葉で元気になったりするので、皆さんいつも「私は何もできなくて」とおっしゃるのですが、応援してくれる気持ち自体が嬉しくて、続けられると思っております。

新しい名前はテンくんに!
高山)
ありがとうございます。
それでは最後に、犬猫生活へメッセージがあれば教えてください!
西村さん)
犬猫生活さんは本当にすごいなと思っていて、群馬に素晴らしい設備を入れてくださったので、センターの職員さんも感激していたくらいです。
実際そういう風にきちんと施設を作って動物福祉にこれだけ配慮してできているところって他にないと思います。
そういう風に一頭一頭丁寧に、設備を設けて、しかも不妊手術の車も作ってくれて、一般の企業の支援はたくさんあるが、現場に寄り添っている企業さんって無いよなと思って、すごいなーと思っています。
疋田・高山)
温かいお言葉をありがとうございます!
今後ともお力になれるよう、励んで参ります。
むさしの地域猫の会
ホームページ:https://www.musashinoneko.com/
Instagram:https://www.instagram.com/musashinocat/
あとがき
⽇本にはすでに素晴らしい活動をしている団体が多く存在しています。
殺処分ゼロの実現、その先の動物福祉の向上のためには、多くの⽅が協⼒し合い解決していくことが必要です。
我々は引き続き他団体のサポートを通じて、共に問題の解決にあたることを⽬指していきます。