自由気ままで愛らしいねこちゃん。ですが、実は日本の行政施設に持ち込まれたねこちゃんの殺処分数は、1年間で2.7万頭。それだけ多くのねこちゃんたちが命を奪われてしまっているという大きな課題があるのです。
この社会的な課題を解決するための取り組みのひとつが「TNR活動」であり、そこに「さくら猫(耳カット)」の存在があります。
今回は、地域で暮らす「さくら猫(耳カット)」にスポットを当てながら、TNR活動について考えていきましょう。
目次
お耳がさくら型?地域で暮らす「さくら猫(耳カット)」とTNR活動について
「さくら猫(耳カット)」とは、不妊去勢手術済みである目印として、耳の先端をさくらの花びらのようにV字型にカットされたねこちゃんたちのことです。
さくら耳とも呼ばれ、ねこちゃんを愛する活動家さんたちが取り組むTNR活動の一環として実施されるようになりました。
猫を守る『TNR活動』とは?
「TNR」とは、猫を安全に捕獲するTrap(トラップ)の「T」 、新たな子猫を生まないように不妊手術させるNeuter(ニューター)の「N」、猫を元いた場所に戻すReturn(リターン)の「R」の3つの頭文字からできた用語。
引用:公益財団法人どうぶつ基金
お外で暮らすねこちゃんたちを望まない繁殖から守り、一代限りの命をまっとうしてもらうための活動です。
殺処分を根本からゼロへ!TNRが解決できること
「なぜTNR活動が必要なの?」
「どうしてねこちゃんには不妊去勢手術が必要なの?」
といった疑問に対する理由は、ねこちゃんの繁殖スピードにあります。
ねこは1年間に2~4回出産し、1回の出産で約4~8匹の子猫を産むといわれています。しかも、生まれた子猫は生後半年ほどで、子どもを生めるほど成長します。
つまり、1匹のメス猫が、たった1年間で数十匹に増えてしまう可能性があるのです。
もし、制御できないほどねこちゃんが増えてしまった場合、お外でのびのび暮らすだけではいられません。食べるものに困ってゴミを荒らしたり、糞尿によって生活環境を汚してしまいます。
こうしてねこちゃんを嫌う人が増えれば、ねこちゃんを捕まえて行政施設に持ち込むようなことにつながる可能性もあり、その結果、殺処分の対象となってしまう悲しいねこちゃんが増えてしまいます。こういった事態を未然に防ぎ解決するために、TNRはとても重要な活動なのです。
なぜお耳をカットする必要があるの?
「さくら耳」は、不妊去勢手術を受けてから地域に戻ってきたねこちゃんだ、とひと目で分かる目印。
誰がみても分かる目印をつけることで、まちがって何度も捕獲してしまうなどの、余計なストレスや負担からねこちゃんたちを守れます。
首輪やピアスは、生活する中で外れてしまう可能性もあるため、日本ではお耳の先端をV字型にカットするさくら耳が目印として浸透してきています。麻酔が聞いている間に行われるので身体への負担が少なく、出血も少なく処置できます。
「さくら猫(耳カット)」から学ぶ、野良猫と地域猫のちがい
ここまでの話をまとめると、さくら耳をもつ「さくら猫(耳カット)」は、TNR活動によって不妊去勢手術を受けたねこちゃん。つまり、人に守られ、愛されながら地域で暮らすねこちゃんの証です。
TNR活動によって生まれたさくらねこ(耳カット)の中には、地域の中で人と共に暮らしているねこちゃんもいて、「地域猫」と呼ばれています。そうした地域では住民が主体となり、活動家さんなどがサポートしながら地域猫たちのお世話をしています。
TNRの浸透が、猫キライさんにも優しい地域作りにつながる
地域で暮らすとは、単に餌やりやトイレの管理をすればいい訳ではありません。先ほども説明した通り、放っておくとねこちゃんはどんどん繁殖し、増え続けてしまいます。
その結果、発情期の鳴き声やゴミを荒らすなどのトラブルが生じ、苦情の原因となり、ねこちゃんたちの生活の場が奪われてしまうことにつながってしまいます。
TNR活動や地域猫活動が浸透すれば、
発情せず落ち着いて暮らせるので、夜鳴きやケンカがなくなる
地域で餌の管理ができるから、むやみにゴミが荒らされない
人の目が届くから、動物へのいじめや虐待も予防できる
などなど、まさにメリットだらけ。人と猫が共存できる地域づくりは、猫好きさんにとっても、猫キライさんにとっても、そしてねこちゃんたちにとっても暮らしやすい地域づくりにつながるのです。
犬猫生活福祉財団もTNR活動を推進します
犬猫生活福祉財団では、シェルターに併設するスペイクリニックにて不妊・去勢手術をおこなっております。また、地域の方と連携し、野良猫が多い地域での出張TNRも実施いたします。
詳細や価格はこちらのページにてご確認ください。