車に乗る前にボンネットをたたく「猫バンバン」という行為をご存じでしょうか。
猫バンバンとは、猫がエンジンルームに入ってないかを確認するため車に乗る前にボンネットを叩く行為です。
猫は狭くて暖かい場所を好む生き物。そのため、居心地の良いエンジンルームに入り込んでしまう事故が発生してしまいます。
このような事故を未然に事故を防ぐために、乗車前にボンネットをたたく「猫バンバン」を行う活動が広まっています。
そこで本記事では「猫バンバン」のやり方や効果、日常生活で行えるステッカーやマグネットの啓発活動についてご案内していきます。
目次
猫バンバンとは?
猫バンバンとは、車のエンジンルームやタイヤの隙間に入り込んだ猫を出すためにボンネットを「バンバン」と叩く行為です。
エンジンルームに猫が入り込んだ状態でエンジンを掛け、熱くなったエンジンルーム内でエンジン部やベルトに巻き込まれてしまい、運転者が気がついた時には手遅れになっているケースが後をたちません。
このような悲しい事件が起こらないよう、車に乗る前にボンネットを叩く「猫バンバン」という運動がはじまりました。
猫はどこから入る?猫バンバンの基礎知識
猫は性質上、狭い場所と温かい場所が大好きです。この2つが揃ったエンジンルームは、猫にとって「暖を取るのに最適な場所」。
また、車種や年式によって形状は異なるものの、車のエンジンルームに続くボンネットには冷却を目的とした小さな穴が開いています。人間にとっては小さい穴でも、猫が入り込むには十分な大きさであり、猫が入り込んでしまいます。
エンジンルームに猫が入り込んだ状態での運転は、猫の命だけでなくハンドルやブレーキの作動も妨げるケースもあり、車の故障や事故にも繋がりやすく注意が必要です。
日産自動車がプロジェクト化
前述した背景を踏まえ、日産自動車は「#猫バンバンプロジェクト」という企業発信のプロジェクトを実施しています。
プロジェクト化した理由は、「自社が提供する車で悲しい事件が起こってほしくない」という視点からでした。
2015年11月に公式Twitterで「#猫バンバン」を発信。その後、多くの人に知ってもらうため「#猫バンバン プロジェクト」のスタートとともに特設サイトを開設しました。
現在でもFacebookやYouTubeなどを通じて、精力的に情報発信を実施しています。また、日産自動車の「#猫バンバン」プロジェクトに賛同した企業が発信を行うなど、企業の壁を超えた活動になってきており、「猫バンバン」の認知度はさらに広まりつつあります。
猫バンバンのやり方
猫は「暖かくて気持ちのいい場所」と感じると、繰り返し何度でも同じ場所を好む傾向があります。
猫が好んで入る傾向にあるエンジンルームですが、外から見ただけでは車の中に猫が入り込んでいるかどうかを判断できません。
そこで必要となるのが「猫バンバン」。ここからは猫バンバンのやり方について紹介します。
ボンネットをたたいてみる
車に乗り込む前に、エンジンルーム内に猫がいないか「音」を使って確認します。車のボンネット部分を軽く叩き、中から反応があるかどうかチェックしましょう。
注意点は「強く叩きすぎない」こと。特に子猫は外の世界に慣れていないため、大きい音を立てるとびっくりして動けなくなってしまいます。
「猫バンバン」というネーミングではありますが、ボンネットを「トントン」とやさしく叩き、叩いた後は猫の声がしないか耳を澄ましましょう。
クラクションを鳴らしたり、ドアを大きめに締めるのも効果的です。ここでも、大きな音を出し過ぎずに優しく行うようにしましょう。
車の周りを確認
「音」による確認の次は、「目」つまり運転者本人の目視による確認を行います。車に乗る前に、タイヤの上や周りに猫がいないか必ず確認しましょう。
猫バンバンによって外に飛び出した猫が、そのまま車体付近でうずくまっている可能性もあります。さらっと一瞬見ただけではわかりにくい、タイヤの下などの狭い場所も確認するのが理想的です。
外が暗く見えにくい時間帯は懐中電灯やスマホの明かりなどを使用してもいいでしょう。
車体をゆすってみよう
車の周りを確認するだけでなく、車体を少し揺すってみるのも効果的です。目視では確認できない場所にいた猫も、車体がゆれる刺激によって出てくることがあります。
一見すると面倒な作業のように感じますが、たった数十秒の習慣化が猫の命を守り、事故や故障から運転者を守ります。
猫バンバンの効果は?
車に乗る前にボンネットを「バンバン」叩くことで、音に敏感な猫は驚いて出ていきます。
また、音を立てることで「車が動く」合図も猫に送れるでしょう。
しかし、残念ながらすべてのケースに猫バンバンの効果があるわけではありません。ここからは「猫バンバン」の効果についてさらに詳しく説明していきます。
居心地が悪いと認識させる
猫が今まで居心地が良いと感じていたボンネットの中を「バンバン」叩くことで、猫にとって「居心地が悪い場所」と認識させられます。
仮に、エンジンルームに猫が侵入している場合も同様に、決して慌てず、猫にとって「居心地の悪さ」を認識させるような対処をしましょう。
例えば、ボンネットを開けて、長い棒などを使って「お尻をつんつん」と押すだけで、びっくりして逃げていく猫も多いです。
車に乗る前にボンネットを「バンバン」と叩くことを習慣化すると、猫が近寄りにくくなる効果も期待できるでしょう。
100%の効果があるわけではない
しかし、すべての猫に「猫バンバン」の効果があるかというと、100%の効果があるわけではありません。
ボンネットを強く叩きすぎてしまい、かえってエンジンルームに猫が入り込んでしまうケースもあります。また、猫自身がどこからエンジンルームに入ったか分からなくなってしまい、外に出たくても出られなくなってしまうことも考えられます。
「猫バンバン」には一定の効き目はあるものの、完璧に効果があるとは言い切れません。
もちろん、何も対策を行わずにエンジンをかけるよりは効果的。優しく「猫バンバン」を行ったうえで、目視による確認の徹底や、そもそも猫がエンジンルームに入り込まないような予防対策を講じることが有効です。
猫がエンジンルームに入らない対策は?夏でも猫バンバンは必要?
猫がエンジンルームに入らない対策を取っておくと、トラブルが起こる可能性は低くなります。
具体的な対策は次の2つです。
- 車体にカバーをかける
- エンジンルームを居心地の悪い場所にする
少しの工夫で未然に防げます。ここから、一つ一つ解説していきましょう。
車体にカバーをかける
猫がエンジンルームに入らないポイントは、「人が通る入り口以外は塞がれている」こと。
猫はわずかな隙間があればどこからでも入り込んでしまうため、車庫があるなしにかかわらず対策することをおすすめします。
車体にカバーをかけておくと、猫がエンジンルームやタイヤの間に入らないため、効果的です。
また、冬以外の季節もエンジンルームに猫がいる可能性はあります。エンジンルームは温かいだけでなく、暗さや狭さが猫に好まれやすい環境だといえます。一年を通じて「猫バンバン」を行うことを習慣化できるといいですね。
居心地の悪い場所と認識させる
エンジンルーム=居心地がよいと思っている猫に「居心地の悪い場所」と思わせることも有効な対策になります。
具体的な方法を挙げると次の通りになります。
- 車付近への猫よけ・猫が嫌がる音の出る機器の設置
- 自動散水機(猫が近づくとスプレーを噴射るる機器)の設置
- 猫用忌避剤の活用
猫専用の撃退道具を使うと効果的です。ただし注意点として、猫の学習能力が高いという点を考慮しましょう。「ここを通れば大丈夫」など、一度クリアした対策を覚えているケースもあります。
「猫除け対策をしてあるから平気」とは安心せず、「猫バンバン」や目視チェックを忘れないようにしましょう。
猫を守ろう!あなたにもできる啓発活動
自分自身が猫バンバンを習慣化することはもちろん、ほかにも私達が日常生活で行える活動があります。
ここではあなたもすぐに取り組める2つの活動をご紹介します。
ステッカーやマグネットで猫バンバンプロジェクトに賛同
2015年11月に日産自動車が公式Twitterで「#猫バンバン」を発信。多くの人々に知ってほしいという願いを込め、自社が扱っている商品で悲しい事故を防ぐために「#猫バンバン プロジェクト」と称した企業発信での啓発活動を行っています。
- 猫バンバンステッカー・ロゴデータの配布
- オリジナルマグネットの販売
また、公式サイトからロゴを無料でダウンロードし、啓発活動に活用できるような取り組みも行っています。SNSへの投稿などに活用し、「猫バンバン」の認知度アップに貢献できます。
飼い主のいない猫を増やさない
ねこは1年間に2~4回出産し、1回の出産で約4~8匹の子猫を産むといわれています。しかも、生まれた子猫は生後半年ほどで、子どもを生めるほど成長します。
このように猫は繁殖力の高い生き物であり、不妊去勢手術をしていない野良猫はねずみ算式に増えてしまいます。猫がエンジンルームに入り込む事故を減らすには、そもそも管理者のいない野良猫を増やさない活動や、「完全室内飼育」「終生飼養」の徹底も重要な要素となってきます。
車に乗る前にはまず猫バンバン!できることから始めよう
猫がエンジンルームに入り込んでしまう事故を未然に防ぐために行っている「猫バンバン」。100%の効果があるわけではありませんが、猫を守るための第一歩となるとても重要な行動です。
この機会に、車に乗る前にまずは「猫バンバン」を習慣化へ。今からできることをはじめてみませんか。